‘金剛寺報’ のページ
金剛寺報 第5号
火性三昧特集
修行について ─実修実証─
よく修行について質問されます。「何年修行したのですか」とか「修行大変だったでしょう」と聞かれます。
私の場合、京都のお寺で師匠に学び、また僧侶の養成学校で一年間修行を積んで僧侶の資格を得ました。京都で十年間いろんな方に出会って多くを学び今の基礎が出来た気がします。
ただ、私が感じたのはその十年間はとても幸せな日々だという事でした。自分のお寺に帰ってきてからの方がはるかに大変です。学ぶという行に専念した十年と、その経験を生かすという、帰ってからの十年では時間の流れが全く違いました。
つまり、学んだことをどう生かしていくかという事が大事であって、ただ辛い行をたくさんしたからといってそれが救いを求めている人のためにならなければ、自分の中での知識の積み重ねでしかならないと思います。
「実修実証」 実際に学んで実際に証明する。
これが修行の本質なのではないかなと感じますし、僧侶に限らずどんなことでも共通すると思います。
火性三昧(かしょうざんまい)
一般的に火生三昧といいますが津軽では火性となっております。清らかな火を焚き、一心に拝み、世の中の平和と自身の無病息災を祈願し、最後に参拝者自身が火を渡ります。
特に津軽の特徴として、修験者が松明〔たいまつ〕や鉄鍬〔てっか〕、熱釜〔かま〕の行を行い、自身が不動明王となって修し祈願します。
修験道は古くから口伝〔くでん〕という、口伝えを重んじ、文書などの資料があまりありません。津軽の修験も約四百年の歴史があるとされておりますが、それも口伝によって今に続けられてきております。ただ現在津軽でこの行を行なっているお寺は少なく、当寺を含め約六ヶ寺程です。
柴灯護摩
道場ではまずお経を唱える御法楽を行い、洒水〔しゃすい〕、大幣〔たいへい〕、大刀〔だいとう〕の儀式を行い、道場を清めます。そして読経の中、護摩導師が修法を始め、中央の護摩木が積まれヒバの葉で覆われた炉に火が灯されます。
祈願文を読み上げ、参拝された方々の添え護摩木を炉に投じ、次に皆さんのお手持ちの物を火に当てお加持します。
導師が修法を終えるとここから火性三昧が始まります。
明松[たいまつ]の行
火性での松明を津軽では「明松」と書いてたいまつと言います。
炎で身をこがすこの行は、両端に火のついた口明松をくわえ、両手にも火のついた明松を持ち、しゃがんだ状態で前に進み、途中で袖の中に明松を通したりしながら道場を一周します。
自身が不動明王となって、道場を炎で清める浄化の作法と考えられます。
鉄鍬[てっか]の行
炭で真っ赤に熱した鉄の鍬を、塩を紙で包んだ「懐紙」を用いて握り、左手で高々と持ち上げ道場を一巡します。火性の中でも最も危険な修法と言われております。
生と死が表裏一体となるこの行はまさに自身が不動明王となり火で火を克服し、大日如来へと即身成仏するという、擬死体験をあらわす作法と考えられます。
熱釜[かま]の行
大釜に湯を煮えたぎらせ、笹の束で高々とその湯を散らしながら浴びて、次に笹の束を釜の中に敷いて座し、密教の印を結び三昧の境地に入り、終わると釜を高々と頭上に持ち上げながら本尊の前まで進みます。
熱釜も大日如来の世界に即身成仏して神仏一体となり、さらにそこから再生する「擬死再生」を表す作法と考えられます。
火渡りの行
最後に参拝者自身の行として火渡りの行が行なわれます。
真っ赤に燃える炭の道をまず、火渡り導師が修法して渡った後に一般の方が、わらぞうりを履いて手に御幣を持ち渡ります。
明松、鉄鍬、熱釜の行が修験者が即身成仏する擬死再生の行とすれば、火渡りの行は一般の参拝者の方が即身成仏する擬死再生の行と考えられます。
参考文献 ─ 『鬼と修験のフォークロア』
内藤正敏 法政大学出版局 二〇〇七年
このように文章にすると難しくて伝わりません。山深い所で道も悪くご不便をおかけしますが、まずは実際にご自身の目で見て感じて頂くことをお勧め致します。
六月第三日曜日 午前十一時より 赤倉山霊場山開会 火性三昧
*岩木山ろく修行道場にて
金剛寺報 第4号
やっと春が来ました!
長く厳しい冬も過ぎ、待ちに待った春がやって来ました。桜や梅の花が一斉に咲いて津軽の春を実感しております。
弘前城公園では桜の木の下で宴会を開いて楽しんでおりますが、桜の花咲く木の下に集い、美味しいものを食べて美味しいお酒を飲み、話にも花が咲きとても良い気持ちになります。津軽の春の醍醐味だと思います。
そして桜の花が散りだす頃にリンゴの花が咲き、畑の仕事もいよいよ忙しくなってきます。
田んぼの神さま
桜と神さま。一見すると繋がりが無いように思いますが、実は密接な関係があります。
農耕文化の日本において、古くから田んぼには神さまが宿り五穀豊穣をもたらしてくれると信じられております。田んぼの神さまは冬には山にこもり、春がくるのをずっと待ちます。そして春、桜の花が咲く頃、里の田んぼに戻ってきます。農家の人々は田んぼの神さまをお迎えするため、桜の木の下で美味しいものや美味しいお酒を用意して「今年も準備が整いました。神さまどうぞ起こし下さい」と宴会を催すのです。そして田んぼを守り五穀豊穣をもたらして秋の収穫の頃には山の紅葉の衣を身にまとい、山に帰るといいます。
そう思いながら桜を眺めると春が一層待ち遠しく感じる事が出来ます。
弘前公園の桜
地蔵菩薩
数ある仏さまの中で最も身近で親しみのある仏さまと言えるのが地蔵菩薩さまではないでしょうか。
身近なだけに姿かたちも様々ありますが、一般的には優しく穏やかなお顔立ちです。
悩みや苦しみから慈悲の心で救ってくださる。また六つの世界(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天)全てに存在し、そこを巡る私達が、たとえ地獄にいようともお地蔵さまの慈悲の心で救ってくださると言われており、また子供を守ってくれる仏さまとしても信仰を集めております。
当寺では「お地蔵さまを遊ばせる」という、ご供養を行なっております。右のお地蔵さまがそのお姿です。普段は仏壇等にお奉りしご家族をお守りくださるお地蔵さまを、当寺にお参りに来られる際に一緒にお連れしてご供養をする。これを当寺では「遊ばせる」といいます。
金剛寺の仏さま
津軽の風習 百万遍
津軽では特に、各町内に地蔵講があり、春と秋のお彼岸の頃には大きな数珠玉を持って町内を巡り供養と祈願を込めて「南無阿弥陀仏」と唱え百万遍の数珠を廻します。
これはそれぞれの信仰する宗派を超えて、町内の安穏のために一生懸命祈るという、とても尊い津軽独特の風習です。最近は後継者の不足などでとても苦労されているそうです。私も出来る限り協力出来ればと考えております。
地蔵菩薩ご真言
オン カカカビ サンマエイ ソワカ
(稀有なるお地蔵様に帰依し奉る)
一木一草
長い冬の中で、風雪に耐える一本の木を見た時に「育つ場所も自分で決められないのにそこにしっかり根を張って生きている」と、ふと感じました。与えられた環境の中で精一杯生きる。
これは人間も同じだと気付かされました。
生命を与えてくれる親も、生まれる時も環境も全ては意のままになりません。その中で我々は与えられた命を全うするべく一生懸命根を張って頑張っているのだと。それは木も人も同じ。生きていれば良い事ばかりではなく悩み苦しみ、その中でほんの僅かながら良い事もある。その繰り返しだと思います。
「一木一草」 それぞれに命と宇宙を秘めているという意味がありますが、木は苦しいからといって場所を変えたり不平不満を言ったりしません。何も言わない木に、恥ずかしい位に学びました。その木がいま花を咲かせ新緑がまぶしくなってきました。
金剛寺のご供養ご祈願のお勤め
金剛寺では、ご供養とご祈願のお勤めを通常午前十時より執り行っております。
お参りされます折には事前にお電話にてご確認ください。
電話 0172-57-2548
金剛寺の年中行事
- 2月25日………開運厄除け星祭り祈祷会
- 6月(第3日曜日)………赤倉山霊場山開会 火性三昧 ※岩木山ろく修行道場にて
- 旧暦9月21日………四国八十八ヶ所お砂踏み法会
金剛寺報
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金剛寺報 第3号
弥生三月
長い冬もようやく先が見えてきた気がします。今年は昨年ほどではありませんでしたが、それでも雪は深く津軽の厳しさを感じました。本堂にお供えした桜は一足早く花が咲いております。
弥生とは草木がいよいよ生い茂るという意味があるそうです。
この時期は卒業や進学、転勤など「別れ」や「出会い」の時期でもあります。春に向けて気持ちも体も全力で向かっていけるよう整える時期ではないでしょうか。そしてこれからの出会いにご縁を感じ、一生懸命勤める事が自身の成長に繋がると思います。
平成二十六年度厄除け星祭り
去る二月二十五日、当山恒例の厄除け星祭り法会が厳修(ゴンシュウ)されました。
当日は天候にも恵まれたくさんの方にお参り頂き、またお勤めの前には登山囃子などの演奏奉納もございました。
その後にお勤めが始まりました。前号で述べました通り、皆さんの一年の無事をそれぞれのお札に託し一心に祈念し、また参拝された皆さんの願い事が書かれた護摩木も同様に、護摩の火に投じて祈念致しました。
当寺はご承知の通りお堂も小さく、参拝の方が入りきらないので住まいの部屋も利用しておりますが、約三百名の方にお参り頂き、皆さんには窮屈な思いをされた事と思います。
お山参詣 囃子演奏奉納の様子
法要ではその年の吉凶を占う「柳からみ」や五穀豊穣を占う「護摩」なども行なわれ、参拝の皆さんも真剣な表情で見入っておりました。それによると春は少し遠く、秋は
突風などに気をつけるようにとのご神託がありました。
法要終了後には厄除けの豆まきや開運くじ引きが行なわれ、歓声が響き渡っておりました。
今年も明るく無事に過ごせますように。
3月11日
今年もこの日が来ました。あれから三年の月日が経ちました。
思えばあの時、自分に何が出来るのか自問自答し、有志を組んで岩手や宮城を廻って、勤めや物資を届けたり、ボランティア活動に加わったりと、自分なりに悩み・考え行動しておりました。その時に出会った方々とは今でも親交があります。
岩手県宮古市の浄土ヶ浜
去る三月十一日は早朝の雪降る中、出発し岩手県宮古市に向かいました。
四時間かけ宮古市にある真言宗のお寺、長根寺様に到着。震災後にご縁を頂いたお寺で、事あるごとにお世話になっており、約半年ぶりの再会でした。
さっそく衣に着替え、車で田老町へ移動し、お経を唱え法螺貝の音を響かせながら町をひとり練行して巡り、次に宮古市沿岸部と浄土ヶ浜を同じく巡りました。
風景は年々変わっており、特に工事関係の車両や人が多く、また場所によっては土地をかさ上げするための土が盛られておりました。山の一角も削られ、聞けばそこを宅地にするとの事、もっとも震災後の人口減少は歯止めがかからず、ひとえに復興と言っても難しい現状があることを強く感じました。
長根寺さんに戻ったのが午後四時過ぎで、聞けば午後六時から宮古湾の岸壁で灯篭流し供養が営まれるとの事、私も参加させて頂く事にしました。午後五時過ぎ、宮古湾に到着すると、準備が真っ最中でした。
風も強く日も落ち、気温がぐんぐん下がる中、皆さん一生懸命準備されており、ただただ下がる思いでした。
祭壇には皆が持ち寄ったお供えのお菓子や果物が供えられ、準備が整ったところでお勤めが始まり読経の響く中、皆さん一心に手を合わせ、故人を偲んでおりました。
この日は遅くなったので長根寺さんに一泊お世話になり、翌日帰ってまいりました。
自分に何が出来るかという問いには未だ答えは見いだせませんが、その問いをこれからも探し続けようと思います。
岩手県宮古市の浄土ヶ浜
金剛寺のご供養ご祈願のお勤め
金剛寺では、ご供養とご祈願のお勤めを通常午前十時より執り行っております。
お参りされます折には事前にお電話にてご確認ください。
電 話 0172-57-2548
金剛寺報 第2号
厄除け星祭り
金剛寺のでは毎年二月二十五日に厄除け星祭り法会を厳修致しております。
星祭りとは年の変わり目にそれぞれの当たり年を奉って厄を払い、一年の無事を祈るものであります。
当年星と本命星
人には生まれた年で定まる「本命星」があり、真言宗では北斗七星を「十二支を司る星」として干支をあてはめております。この星は生まれてから変わることなく、一生を司るので「本命星」といいます。
また一白水星や二黒土星、三碧木星などの九星も本命星を指します。
- 貧狼星(とんろうしょう)………子
- 巨門星(こもんしょう)………丑・亥
- 禄存星(ろくぞんしょう)………寅・戌
- 文曲星(もんごくしょう)………卯・酉
- 廉貞星(れんじょうしょう)………辰・申
- 武曲星(ぶこくしょう)………巳・未
- 破軍星(はぐんしょう)………午
これら動かない星「本命星」に対して「当年星」とは年によって動く、その当たり年を言います。この星は九つあり「九曜星」といい、人は生まれてからこの星を巡っていきます。良い星もあればそうでない星もあります。
- 羅睺星(らごうせい)………潜運
- 土曜星(どようせい)………開運
- 水曜星(すいようせい)………吉運
- 金曜星(きんようせい)………生運
- 日曜星(にちようせい)………盛運
- 火曜星(かようせい)………休運
- 計都星(けいとせい)………死運
- 月曜星(げつようせい)………進運
- 木曜星(もくようせい)………吉運
九星や九曜星の吉凶につきましてはご信者の皆様にお配り致しました開運暦をご参照ください。
これらの星を奉って良い星の巡りの時はさらに良くなるように、そうでない星の時はそうならないよう良くなるように、皆様のお札をこしらえて家内の安全や健康を神仏に託し祈願する。これが開運厄除け星祭りであります。
当寺では毎年二月二十五日午前十一時より開運厄除け星祭り祈祷法会を厳修致しております。
お申し込みにつきましてはご信者の皆さまにお配り致しました帳面に記載のうえ、一月末頃までにお申し込みください。
詳しくは当寺までお問い合わせください。
2月25日 午前11時より
開運厄除け星祭り祈祷会厳修
文殊菩薩
当寺には小さなお堂に様々な仏さま・神さまが鎮座いたしております。その中から今回は文殊菩薩さまをご紹介致します。
金剛寺のご本尊さまで卯年の一代さまでもあるこの仏さまは智慧を司る仏さまとして知られております。
特徴として獅子に座り、右手に剣、左手に経典或いは宝の珠を持っております。当寺の文殊さまは宝珠を持っております。
獅子はライオンを象徴化したもので恐れるものはないという事を表します。
手にする宝剣は単なる武器ではなく、密教化してダイヤモンドのように堅固でその清らかな力で諸悪を打ち砕くとされ、経典や宝珠は人々を仏の正しい道に導く功徳の象徴と言われております。
仏教が成立した時代に実際にインドに実在した僧侶と伝えられ、経典などをまとめたと言われております。
ひとえに「ちえ」と言ってもさまざまで、文殊さまの「ちえ」とは「智慧」を指し、学業成就のみならず、物事のありようを正しく見極め、判断できる力を授けてくださります。
ちなみに文殊さまの縁日は二十五日です。
良い智慧を授かれるよう毎日を一生懸命過ごしていきましょう。
文殊菩薩ご真言
オン アラハシャノウ(文殊菩薩に帰命し奉る)
金剛寺の仏さま
イライラと欲の関係
日々の生活は良い事、そうでない事の繰り返しだと思います。思うとおりにいかない事のほうが多いでしょう。そうなればなるほどイライラするものです。
自分の理想と今ある現実、この差が開けばあくほどイライラや怒りに繋がります。その開きの大きさが「欲」と言えるのではないでしょうか。今ある現実を見据えて着実に積み上げていくことがイライラ解消の一番の近道だと思います。
金剛寺のお勤め
金剛寺では基本的に午前十時から毎日ご供養・ご祈願のお勤めを致しております。ご供養・ご祈願合わせて約一時間です。
十時からお勤めが始まりますので、お手数ですが九時半頃までにお越しください。
尚、都合によりお勤めが無い日もございますので、お参りに来られる際は事前にお電話にてご確認ください。
合 掌
金剛寺の年中行事
- 2月25日………開運厄除け星祭り祈祷会
- 6月(第3日曜日)………赤倉山霊場山開会 火性三昧 ※岩木山ろく修行道場にて
- 旧暦9月21日………四国八十八ヶ所お砂踏み法会
金剛寺報 第1号
金剛寺の日々の出来事などをお伝えする新聞を創刊いたしました。少ない知識とつたない表現力ではございますが、感じた事や経験などを基に自分のことばで綴っていきたいと思いますのでどうぞよろしくお願い申し上げます。
赤倉山金剛寺とは
当山は真言宗のお寺として初代住職・蒔田照正僧正が開きました。お寺としては歴史も浅くとても小さなお堂ですが、文殊菩薩をご本尊にお不動さまやお地蔵さま、お大師さまを始め としてさまざまな仏さま、また赤倉さまなどの神さまが宿る、供養とご祈祷のお寺であります。
毎日午前十時にご供養とご祈祷のお勤めを致しております。
赤倉山という名の通り、岩木山のふもと赤倉の地に当山の修行道場があります。
冬は雪に閉ざされ大変厳しい自然環境の地、赤倉には古くから鬼が住んでいると言われ、その鬼が津軽の地と民を護る神、赤倉大権現として津軽の人々の信仰を集めてきました。
この霊地に照正僧正が修行道場を建立し、以来毎年6月の第三日曜日には修験者による火生三昧(津軽では火性三昧と言う)を厳修(ゴンシュウ)し、熱釜や火渡りなどの荒行を行い、五穀豊穣や海上安全、家内の安全を祈ります。
赤倉道場 火性三昧の様子
拝むということ
私を僧侶として形成して頂いた師匠に、初めてお会いした時、こう問われました「仏教とは何だ」と。その時に答えは見つかりませんでしたし、今でも「これだ!」と言うが出来ません。でもその問いが昨日の事のように鮮明に常に頭の中にあります。
何気なく過ごす毎日も良く考えればそれは特別な事だと思います。無事に過ごせる事に感謝し一生懸命生きる。そこに仏さまや神さま、ご先祖さまを感じる。この事こそが拝むという事の原点なのではないでしょうか。自分ひとりでこの世の中を生きているのではなく、多くの周りの人達や目に見えない何かに支えられて生きている。そう思えばどんな困難が立ちはだかっても一歩ずつ前に進んで乗り越える事が出来る気がします。
「感謝」の気持ちが自分の力をより大きなものに変えてくれると私は思います。
金剛寺の原点
初代住職の照正僧正は五所川原のお寺の末っ子で、終戦後に五所川原の地を出て、八幡崎の村が管理するお寺に入りました。
そこで托鉢や仏事を重ね、やがて金剛寺を建立するに至りました。
五所川原の地を離れる時、住職である父から一つだけ渡されたもの。それが右の写真にある「金剛鈴」という密教法具だそうです。
「これで托鉢をして頑張りなさい」そういう事なのでしょう。今はもうすり減ってボロボロですが音はとても清々しいです。
私も小さい頃、祖父と父と三人で寒の時期に托鉢をした記憶があります。
祖父がこの金剛鈴を鳴らしながらお経を唱え家々を廻り、布袋さんが持っているような大きな袋に父が米を頂き、私が玄関に貼る戸札という御札を渡す。米は重いのでソリに載せそれを父と一緒に引っ張った記憶があります。
金剛寺の原点がここにあります。
「護摩」智慧の火
金剛寺では基本的に午前十時から毎日お勤めを致しております。まずご供養のお勤めを行い菩提を弔います。その後ご祈願を行い護摩を焚きます。約一時間のお勤めです。
この護摩の火、智慧の火とも言われます。人類が進化する原点となったものが「火」です。火を手にする事によって人類は劇的な進化を遂げる事になるのです。しかし火は使い方次第で便利なものや危険なものとなります。
この智慧の象徴でもある密教の清らかな火をもって皆さんの健康、家内の安全をご祈願いたします。
またご本尊・文殊菩薩は智慧を授ける仏さまです。智慧と言っても学業の知恵だけではなく、生きるための智慧を授けてくれるといわれます。
どうぞお参りに来られる際は「智慧の火」に願いを託してください。
尚、都合によりお勤めが無い日もございますので、お参りに来られる際は事前にお電話にてご確認ください。
金剛寺の年中行事
- 2月25日………開運厄除け星祭り祈祷会
- 6月(第3日曜日)………赤倉山霊場山開会 火性三昧 ※岩木山ろく修行道場にて
- 旧暦9月21日………四国八十八ヶ所お砂踏み法会