皆さま百万遍をご存じでしょうか。
春と秋の頃、町内をおばさま方が大きな数珠の珠を持って練り歩き村の境やお地蔵さまの前で「なむあみだぶつ」と唱えながら数珠廻しをするのがそれです。
この時期、私が住職を勤める黒石市にある地蔵院には各町内の地蔵講の方が数珠玉のご祈願にやってきます。
数珠の珠でひときわ大きな親玉があり、それをお寺にお参りに来てその年の干支の守り本尊さまの焼印を捺してもらいお加持をする、いわゆる位上げです。ひと団体約4名ほどでお参りに来られます。
1年にひとつ焼き印を捺し、それを何十年と続け、いっぱいになると親玉を新調します。いっぱいになった親玉は地蔵堂に奉られます。昔から続く津軽の風習です。
この親玉はお地蔵さまが持っている宝珠の形をしており、これはどんな願いも叶えてくれる有難い珠とされ、それを数珠につけて廻すことによって、村の厄を払い町内の安全を願うものであります。
津軽では弘前市の愛宕山橋雲寺さんと、黒石市の愛宕山地蔵院でこのご祈願を行っております。
正直とても勉強になります。その村によって様々な違いもありますし、後継者不足で存続に苦労する方々もおります。
そういった方たちとお話をする事で何か力になれないかという気持ちにもなります。お話をしてご祈祷をすると皆さんに本当に喜んで頂いて、こちらのほうが有難い気持ちになります。
ある講の方はお地蔵様に着せる着物を新調したとの事で、その着物もお加持しました。それがこちら・・
お地蔵さまを大切に守ってきた皆さんの熱を感じます。
お地蔵さまは地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天のすべての世界にいる仏さまといわれ、六地蔵はその象徴です。
そして子供達を守ってくれる仏さまともいわれ、仏さまの中で一番身近な存在です。
私なりのことばで皆さんに言います。「皆さん、これは特定の宗教行事と捉えないで下さい。皆さんが村の代表として、村の安全と幸せを願う皆の行事です。様々な宗派はありますがそれぞれを組み合わせた津軽独特の風習、途絶えると次はありません。出来る事は何でも協力しますから、皆さんと一緒にがんばりましょう!」と。
普段数珠玉はお地蔵さまのお堂などに大切に保管されています。
今日も地蔵講の皆さんに混じって私も数珠を廻してきました。
写真は一昨日のですが、どん!
桜の花咲く下、いついつまでも続いて欲しい行事だと思います。
今日は飛び入りで子供さんも廻しました!今日の百万遍がこちら・・
その記憶が片隅にずっと残りますように。